入社3年目の設計者へのおすすめ本
大人の読書感想文
そろそろ夏季休暇に近づいてきましたね。
実家へ里帰りする方もいると思いますし、帰らないで家でゆっくりされる方もいると思います。
せっかくの長い休みでもあるので普段忙しくて中々本を読めない方もいると思いますので、是非時間があれば読んでもらいたい本がありますので紹介します。
この本は自分が自動車会社の設計担当をしていた時に、紹介された本です。
もともと自分が在籍していた設計部で代々上司から入社3年目くらい多分仕事の内容が分ってきて設計とは?ものづくりとは?みたいな事を考える事が多くなるの渡されていたと思いますが、自分はその開発が多忙だったのでもう少し後で渡されました。
と自分のいい方向に捉えてますが、もしかしたらまだ早いと思われていたのかも知れません・・・
文庫本【零式戦闘機】の紹介
皆さんも御存知のゼロ戦の本を今回紹介します。
最初にお断りさせて頂きますが、この本を紹介するのは設計者としての観点からみて面白いと思って紹介しています。(内容も設計者の本なので)
では本の内容です。
4年前に映画で宮崎監督のアニメ映画で「風立ちぬ」ってありましたよね。
その主人公のモデルとなっているのがゼロ戦設計者の堀越二郎氏(堀越二郎 - Wikipedia)へのインタビューの本になります。
その後航空機事故調査委員会の委員としても尽力されていた方です。
ちなみに風たちぬが上映されるときはこの本も増版され、もしかすると書店で目にされた方も多いかもしれません。
著者の柳田邦夫氏がこのほかにも日本国内での航空機事故を題材とした「マッハの恐怖」という本もあります。
マッハの恐怖はどちらかというと品質工学的な話になりその本も実はセットで上司から渡されました。
残念ながら、廃版となっているので新品で手には入れませんがオークションや中古書店で購入することはできます。
マッハの恐怖読むとなぜ現在富士山横の飛行経路はこうなったか分るとおもいますが、こういう本読むので飛行機乗るの苦手なんです。
設計者へおすすめの理由
最近ですとエンジニアというとパソコン業界のエンジニアという方がイメージが強いかもしれませんが今回は製造業のエンジニアについてです。
今も昔も設計でやることは一緒だった
この本を受け取った時になんだプロペラ機の設計なんてこっちは今最先端のスポーツカー設計してるんだと思っていたのは事実です。
でも約80年前の設計手法も現在の設計手法も同じだという事が分りました。
もちろん、今の時代はパソコンがあるので図面は描かないし(CADデータ)、情報量などは当時と比べ物にならないと思いますがやることは同じでした。
目標性能
もちろん現在でも自動車に係わらず、電気製品でも目標とする性能(機能)が新製品を開発する時にはあります。
ゼロ戦設計でも、重量・空中戦機能など様々な要求がお客様(この時は軍)か求められています。
トライ&エラーの実験繰り返し
これは試作品にあたるものですが、同じ様に現在でも車の開発はコンピューターでシミュレーションもできますがやはり試作車を作って開発しています。
残念な事故もありましたが、そこでの事故発生の原因追究などは現場の雰囲気から考え方まで読み手に分りやすく書いているので理系の方でなくても想像しやすいと思います。
他社製のエンジンを載せる
飛行機の心臓部はエンジンと言われますが、このゼロ戦は元々三菱で設計製造したものになりますが、エンジンは中嶋飛行機(現SUBARU)となります。
自動車で例にすると、トヨタ車にホンダのエンジンを載せるという事になりますがこれは設計者というかその開発に係わる人達にすればありえない事です。
まあiPhoneだってSONYのカメラ使ってたじゃんと言われればそうなんですが・・・
現在の資料とかですと中島飛行機のエンジンの方が優れていたからそれがSUBARUの水平対向エンジンのDNAへうんぬんかんぬんと言う記事があります。
ゼロ戦開発時は確かに優れていたそうですが、実は三菱側もゼロ戦用に更に小さく高出力のエンジンを開発をしていたそうです。
たら・ればを言いたいわけでは無いですが、設計者として他社製エンジンを載せる葛藤の心情も掲載されているのでそこは一読の価値ありです。
まとめ
ちょっと堅苦しい事書きましたが、文庫本なので数日あれば読めると思います。
いや設計者でもないしという方でも、飛行機の設計ってこうやってたんだというのが良く分ると思います。
設計のお仕事されている方でも、上記の様に自分の仕事に置き換えて読むことができると思いますし、逆によくこの時代にここまで考えてたんだと発見できることがあると思います。
ただし飛行機の中で読むと、本当に今搭乗してる飛行機大丈夫なんだよなと思われることがあるといけませんので飛行機の機内で読むのはおすすめしません。
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